瓦屋根の「風切り丸」が傷んでいるお客様宅にお伺いし、法制化した「耐震工法」に則って積み直し工事を行います。
こちらが、今回傷んでいる風切り丸（と雨返し）の全容です。
風切り丸とは、切り妻屋根の妻側（先端側に葺いてある）半丸瓦の列のことです。
台風や大風の際に妻側の袖瓦が端から飛散することを防ぎ、風の力を分散させる為であると言われていたり、単に飾りとしてアクセントをつける為であるとか、諸説あるようです。
地震の影響でしょうか？瓦が全体的にズレ動いた形跡があり、土台となる部分が脱落していました。
まず、既存の棟を解体していきます。
今回、棟内部の土台粘土が奥からえぐられていることから、棟瓦同士の取り合いから雨水が侵入していることが判明しました。
袖瓦と地瓦の隙間からの雨水の侵入が懸念されます。
雨返しを積み直す前に、雨返しの下に位置する地瓦を南蛮漆喰を用いて高さ調整および下地との接着工程を経て、耐震工法を確立する為に必要な下処理を施していきます。
耐震工法の下処理として熨斗瓦を緊結するための被覆銅線を熨斗瓦の幅の半分の間隔（およそ１82㎜毎）に屋根構造体に設置していきます。
そして南蛮漆喰で雨返しの土台を作ります。
南蛮漆喰は瓦屋根には欠かせない材料で、瓦同士の隙間を埋めるほか、接着剤の役割も担ってくれます。
土台が仕上がったら今度はそこへ熨斗瓦を積んでいきます
先述した等間隔にしこである被覆銅線に熨斗瓦を全て緊結していきます。
この工法は耐震工法と呼ばれ、なんと逆さまにしても（ありえないですけど）崩れない強度を有します。
地震や台風に耐性をもつ強固な雨返しの完成です。
風切り丸（と雨返し）の積み直し工事はこれで完了となります。
以前の美しい姿を取り戻し、しかも、棟の中身は以前とは比べ物にならない耐震性能と耐風性能を有しています✨
今回の工事ブログは以上となります。
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