さくら市在住のお客様より、蔵の屋根の葺き替え工事のご依頼がありました。
お伺いしたときの屋根の状態です。
建ててから数十年が経っているそうで、色褪せやコケも目立っています。
平瓦が破損し、冠瓦も一部無くなっています。
瓦が破損した部分から雨漏れが起きているとのことだったので、瓦を外して確認したところ野地も傷んでいることが分かりました。
今回は一度既存の瓦を外し、野地を補強してから、全面葺き替え工事を行うことになりました。
既存の野地板を補修した後、新しい野地板を既存野地板の上に上張りした様子です。
野地板の上にはルーフィングと呼ばれる防水シートを張ります。
ケラバ(屋根の妻側の端部)部分には板金で作られたケラバ水切りを取り付けます。
ルーフィングもケラバ水切りも雨水が野地まで侵入しないようにするためのものです。
続いて瓦を葺いていきます。
今回使用するのは、銀いぶし瓦という和瓦です。
瓦には様々な種類がありますが、蔵の屋根ですので和を感じられる瓦をご提案させて頂きました。
瓦を葺くためには、まず瓦桟(瓦を引っ掛けるための木材)を打ち付けます。
この瓦桟は表面に腐食防止剤塗布がされているので、水濡れによる腐食や劣化の心配はほとんどありません。
そして平瓦をこの瓦桟に引っ掛けて、釘でしっかりと固定をします。
次は棟部の施工に取り掛かります。
まず、南蛮漆喰で棟の土台を作り、熨斗瓦を納めていきます。
南蛮漆喰とは消石灰に特殊なシリコンや防水材などを混ぜたもので、瓦を接着させる糊のような役割も果たしてくれます。
そして、等間隔に耐震杭を打ち込み、外れないように銅線で緊結します。
最後に熨斗瓦と冠瓦を銅線で緊結して完了です。
この工法は耐震工法と呼ばれ、大きな地震などが来ても棟が崩れにくくなります。
葺き替えが完了しました。
以前の瓦とは色味も変わり、雰囲気が変わりましたね。
野地の補強も行ったので、これでもう雨漏りの心配もありません。
瓦の破損やズレなどは放置すると、雨漏りに繋がるケースが多いです。
瓦は他の屋根材に比べて寿命は長めですが、経年による劣化はどうしても避けられません。
屋根を長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスをお勧めします。