今回は和瓦(わがわら)屋根の「棟」と呼ばれる箇所の積み直し工事、「谷板金」と呼ばれる箇所の保護剤の塗布、そして「雪止め」部材の後付け工事のご依頼を頂きました。
棟の解体前の様子です。
地震の影響でしょうか?
経年劣化により「傷み」も加わり、熨斗瓦がと紐丸瓦に隙間ができたり、各部の棟瓦がズレ出してきたりしている状態でした。
少なからず棟内部に雨水が侵入している事も推測されます。
こちらは谷板金と呼ばれる箇所です。仕様は銅板となります。
銅製の谷板金が酸性雨が陶器瓦に触れ、雨水が谷板金に触れることでおこる電位差により、銅板が電食を起こし腐食してきてしまっています。
この腐食を放っておくと、最終的には銅板(谷板金)に穴が開いてしまい、そこから屋内へ雨漏れを起こす原因になります。
今回はまだ穴が開くまでの腐食は進んでいないようです。
今回の作業手順として、まず既存の棟を解体し、棟下の勝手瓦(平瓦)も解体していきます。
棟の下の勝手瓦は平瓦を屋根形状に合わせて切断加工したものを言います。
この勝手瓦は雨水の逆流を防ぐために、下葺き材との間に南蛮漆喰等を用いて高さ調整をしながら納める必要があります。
勝手瓦の調整後、屋根下地を支えている棟木に、等間隔で鋼製の耐震杭を打ち込んでいきます。
更にその耐震杭に被覆鉄筋を銅線で緊結します。
この被覆鉄筋に銅線を用いて、棟瓦(熨斗瓦と冠瓦)を全て緊結していきます。
これが耐震・耐風工法(ガイドライン工法)による棟積み直し工事となります。
この工法で工事をすることにより、加速度が加わらない速さ(1G)で360°ぐるりと回転させても棟が崩壊しない強度を持つことが可能になります。
冠瓦を納め、棟の積み直し工事が完了となります。
以前より強固な仕組みで作らり直しておりますので、今後の台風や地震に対して強い耐性を持った棟が仕上がりました。
こちらは銅製の谷板金に、銅板専用の皮膜剤を塗布していきます。
皮膜剤を塗布することで、これ以上銅板の腐食進行を妨げることが狙いです。
ただし、皮膜剤の中でも銅板専用のものを使用します。
銅板は金属の中でも伸縮率が高く、市販のような塗料ではその動きに追従できず、ひび割れや剥がれの症状がでてしまいます。
上記画像は塗布前と塗布後の様子となります。
最後に雪止め金具を後付け施工していきます。
雪止め金具取付部分の平瓦をめくり、そこへスレンレス製の釘でステンレス製の雪止め金具を取り付けていきます。
取り付け後、めくった平瓦を元に戻し工事は完了です。
これで近隣への落雪の心配がなくなりました。
近年東日本大震災を始め、台風の大型化、ゲリラ豪雨や竜巻発生の頻度増加の傾向がみられ、甚大な自然災害が多くなってきております。
今後皆様におかれましても頻発する自然災害から屋根を始め家を守るためにも、定期的な屋根の点検をお勧めいたします。
耐震・耐風工法や屋根点検について詳しい情報をお求めの方、是非、弊社「やねうち」までご連絡ください!